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荒れた竹林を救うために模索中! 竹炭で生み出す新たなサイクル。


自分の暮らしを変えるため
最終的に、たどり着いたのが林業だった。

石原将さん

高知県日高村の地域おこし協力隊2年目(2021年7月着任)。現在、日高村を拠点に高知県内の森林・里山の整備、および薪の製造・販売を主な業務とする、〝NPO法人木の駅ひだか”に所属し活動中。

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Q:なぜ高知に移住されたんですか?
A:「とりあえず、林業の世界に飛び込んじゃえ!」
みたいな感じで高知県に移住をしてきました。

出身地は岐阜県の、森の中で探検ごっこして遊ぶような田舎でした。
「ママと遊ぼう!ピンポンパン」(※)という番組知ってますか?

私が子どもの頃に放映されていた子ども番組なんですけど、よく公開収録とかがあって、自分と同世代の子たちがいっぱい出ていたんです。

でも、そういうのって大体東京とかで収録してるし、私が暮らしてたような田舎には、来てくれるはずもなくて…(笑)
子どもの頃は田舎で生活していた反動からか、ずっと東京に暮らすことに対して憧れていたんです。

早く田舎から出たかったので、とにかく手っ取り早く上京するために、東京の大学を選んで進学しました。東京で過ごした日々は、刺激的で新しいものに溢れていて、とても楽しかったです。

そこから高知に移住したのは「東京が嫌になった」とかではなくて。
ある時期から林業に興味を持ち始めて、「とりあえず、林業の世界に飛び込んじゃえ!」みたいな感じで、林業が盛んな高知県に移住することにしたんです。

(※)『ママとあそぼう!ピンポンパン』
1966年10月3日から1982年3月31日までフジテレビで放送された子供向けのテレビ番組。1970年4月から1971年9月までは「みんなであそぼう!ピンポンパン」と題して放送された。

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Q:東京の生活とは真逆に感じる林業に興味を持ち始めたきっかけはなんですか?
A:「2000年問題」がきっかけでした。

私が30歳を過ぎた頃、「2000年問題」(※)が世間で大きな話題となったんです。

コンピュータシステムが正常に機能しなくなるだけで、水も電気も使えなくなるかもしれない…
そこまで生活のあらゆるところで、コンピュータに依存しているんだって、その時初めて、意識したんです。

結局「2000年問題」では大きな問題は起こりませんでしたが、ある日突然そういう瞬間が来たら、自分は生きていけるんだろうかって考えた時に、今のままだと無理だなと…。「自分の暮らし自体を変えていかなきゃいけない」って思ったんです。

それから、再生可能エネルギーや環境問題について学ぶワークショップやセミナーに参加しました。
勉強していくにつれて、薪や炭などの再生可能エネルギーを使う生活をするためには、現代の家ではなく、昔から使われていた古民家を改装するとか、自然エネルギーを活かせる構造を持った家が適しているなと思うようになって。そのために大工の技術が必要なので、大工の訓練所に通い技術を学びました。

こうやって自分が興味を持ったエネルギーや環境問題、大工について学んでいくと、全ての根本になっているのが、林業だったんです。

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薪も炭も、家を改装するための材木も木じゃないですか。最終的に、木を切って調達する側の林業を自分でやるというところにたどり着きました。

(※)コンピュータ西暦2000年問題
当時のコンピュータは西暦を下2桁のみで処理していたため、西暦2000年であることをコンピュータが正常に認識できなくなることが原因で様々な問題が生じると言われていた。


Q:現在、竹炭を作り始めた理由を教えてください。
A:竹も貴重な資源の一つだからこそ、うまく活用したかった。

私が地域おこし協力隊として所属している“NPO法人木の駅ひだか”は、日高村を拠点に高知県内で切り出した木を薪に加工して販売するなど、自然環境のための活動をしている団体です。

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そのため、地域の方から「あそこの木を切って欲しい」という依頼があれば出動して木を切っています。その中で「竹を切って欲しい」という依頼もよくあるんですよね。

しかし、竹は薪にならないので、もし切ったとしても切りっぱなしでその場に置いて帰るんです。だから、せっかく切った竹も、土に還っていくだけで。
そうなるとどうしても薪になる木を切る方が優先され「竹を切って欲しい」という依頼は、断ってしまうことが多くて…。

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竹も貴重な資源の一つなのに、使わないともったいない。竹をうまく活用する方法が見つかれば、竹を切る依頼も断らずに済むし、地域の方にも喜んでいただけるんじゃないかと思ったんです。

その時に思いついたのが竹炭でした。

Q:炭作りの経験があったんですか?
A:初めて作ったのは今年(2022年)のGW。

ドラム缶を使った炭焼きのワークショップとか、初心者向けの体験会に参加したりはしましたが、自分だけでやった事はありませんでした。

本当に探り探りで、初めは薪にならない端材を使って作ったんですけど、何度か失敗しましたね。外は真っ黒だけど、中は炭になっていないみたいな感じで…。

炭焼きは火をつけてから、煙の色と匂いで中の状況を判断して、火の大きさを調整しながら、20時間(※)くらい燻すんです。

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最初は「煙で判断する」と言っても、全く何がなんだかわからなかったんです(笑)
失敗する度に本読んで少しずつ勉強して、試作を重ねているうちに、やっと商品にしてもいいかなというくらいの質の炭ができるようになってきました!

(※)材料の質や量、窯の大小、気候などによって、工程に掛かる時間は様々に変化します。

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Q:竹炭はどのように使うんですか?
A:消臭、除湿、浄化など。

竹炭はご飯炊く時に一緒に入れるとご飯がふっくら炊けたり、浄化作用が高いので飲み水の浄化に使ったり、吸収性が高いのでお部屋の消臭や除湿に使ったり、ミネラルが豊富なので農業をする時に土に混ぜたり…

竹炭の使い方は幅広いです!

Q:今後の目標を教えてください。
A:村の人を巻き込んで活動をしていくこと。

竹炭を作って、使ってもらう。
いろんな竹藪を整備できるようになる。
村の人に喜んでもらう。
竹炭を作る人、使う人が増える。
もっといろんな竹藪を整備できるようになる。
そして、もっと村の人に喜んでもらう。

こんな感じのいいサイクルを生んで、村の人を巻き込める活動にしていきたいんです。
そのために今必要なのは、竹炭の消費者と生産者を増やすこと。

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竹炭の用途が見直されて、みんなに使いたいと思ってもらえるように竹炭の良さを伝えていくと同時に、本格的な窯を持たなくても、最初は一斗缶さえあれば炭は作れるんだよってことをもっと知ってもらいたいです。

まだ炭作りは始まったばかりですが、これからが楽しみです。

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